内容証明郵便での婚約破棄慰謝料請求

内容証明郵便とは

婚約男女

内容証明郵便とは、誰が、どのような内容の文書を、誰に対して、いつ発送したのかを郵便局が証明してくれるものです。

単なる手紙

内容証明郵便という物々しい名前がついていますが、実は単なる手紙の一種です。

記載されている内容に従う必要はない

疑問

では、この内容証明郵便を受け取った相手は、どのような義務を負うのでしょうか?

結論としては、何らの義務も負わないのです。
単なる手紙ですからね。

例えば、一般的には「金○○万円を○月○日までに、下記口座にお振込下さい」などと記載します。

しかし、その「金○○万円を○月○日までに振り込まなかった」からといって、何かが起こるわけではありません。
例えば、その金○○万円の支払い義務を認めたとか、警察が来て逮捕されるなどはないのです。
また、そもそもその金○○万円を支払う義務も生じません。

つまり、内容証明郵便に記載されている内容に従う必要はないのです。

従う必要はないけれど……

裁判所

ただし、その内容証明郵便には、「上記の金銭を振り込まれない場合は、法的措置を取ることになります」というようなことも記載されているのが一般的です。
そして、この法的措置とは、調停、訴訟などを意味します。

つまり、受け取っただけでは何らかの法的義務が発生するわけではありませんし、振り込む、振り込まない、返答する、返答しないなどは、受け取った人の自由です。
しかし、振り込む、振り込まないは別にしても、何の返答もしない場合は、法的措置を取られる可能性が飛躍的にアップすることが考えられます。

ポイント

ここがポイント!


内容証明郵便を受け取っても支払い義務や回答義務はないが、何らの回答もしなければ訴訟を起こされる可能性が高い。

使用する意味

慰謝料が振り込まれるとは限らない

上記のように、受け取った相手には何らの義務も発生しません。
したがって、内容証明郵便で請求したからといって、必ず口座に慰謝料が振り込まれるわけではありません。

それなりのお金がかかる

また、普通の手紙で請求すれば82円で済みますが、内容証明郵便で請求すると用紙1枚で1252円、用紙2枚で1512円、用紙3枚で1772円がかかります。
(電子内容証明郵便を使用すればもう少し安く済みます。)

元婚約者に、こちらの要求を伝えるだけで結構なお金がかかります。

なぜ使用するか?

疑問

それでは、なぜ慰謝料請求を内容証明郵便を使用して行うのでしょうか?

その理由としては、以下のふたつです。

本気度を相手に伝える

怒り

まず、一番大きな理由は、何としても請求するという本気度を相手に伝えることができることでしょう。

印鑑

例えば、LINE・メール・電話で請求する場合は印鑑を押印することはできません。
これに対して、内容証明郵便はいたるところに印鑑(差出人や郵便局の)が押されています。

したがって、初めて見る人にとっては、非常にプレッシャーを受けるものだと思います。
また、普通の生活をしている人は内容証明郵便を初めて見るというのが一般的でしょう。

つまり、そのようなプレッシャーを与えることによって、「内容証明郵便を出してくるほど、相手は本気で請求しているのだ」という印象を与えることが可能で、ここに意味があるのです。

証拠が残る

また、内容証明郵便は郵便局でも保管されます。
そのため、請求したという確たる証拠が残ることにも意味があります。

ポイント

ここがポイント!


内容証明郵便を使用する意味は、相手にこちらの本気度を伝えることができることと、証拠が残ることにある。

使用するかどうかの基準

上記のように、内容証明郵便を受け取ることは、非常にプレッシャーを受けます。

仕事の関係などで何度も受け取ったことがあり、受け取り慣れている人(?)ですら、何となく嫌な気分になるものです。

相手方に誠意がない場合

誠意

このように、内容証明郵便には相手を嫌な気分にさせるという特徴があります。
そのため、元婚約者が全く誠意を見せないケースなら、そんなやつの感情に配慮する必要はありません。
例えば、自分は全く悪いと思っていないようなケースです。

したがって、このようなケースでは、最初から内容証明郵便を送って請求したほうがいいと言えます。

相手方に誠意がある場合

謝罪

これに対して、相手方ある程度の誠意を見せようとしている場合などには、内容証明郵便ではなく、一般書留で請求された方がいいこともあります。

というのも、内容証明郵便は宣戦布告を伝える書面のようなものですが、誠意を見せようとしている相手と真っ向から戦う必要などないからです。

その一般書留での請求を本気と受け取らない(放っておけば諦めると思われる)のであれば、もはや誠意なしと判断し、初めて内容証明郵便で請求されればいいのです。

ポイント

ここがポイント!


相手方が誠意を見せようとしていると予想される場合は、内容証明郵便ではなく、一般書留で送ることを検討しても良い。

雛形の使用

内容証明郵便作成に関する書籍は、本屋さんに行けば何冊も目にすることができます。
また、インターネット上には雛形のようなものがあふれています。

文例

そして、その文例はどれも似たような感じだと思いますが、例えばこんな感じではないでしょうか。

  • ※文例
  • 「貴殿と私は平成○年○月○日に婚約し、結婚式場を予約するなど結婚の準備をしてきました。
    ところが貴殿は、平成○年○月○日に「他に好きな女性ができた」という理由で一方的に婚約を破棄する旨を通告してきました。
    この貴殿からの一方的な婚約破棄により私の受けた精神的苦痛は甚大でありますので、慰謝料として金○万円請求します。
    つきましては、下記の口座に、本書面到達後○日以内にお振込ください。
    なお、期日までに慰謝料の振込がない場合は、法的措置を取ることになりますことをご承知おきください。」

効果は期待できない

このままの文章を写して出すことが最悪であるとまでは言いませんが、あまり良いとは言えません。

また、ほとんど効果は期待できないと思われます。

無視せざるを得ない

なぜなら、この文例は、請求を受けた相手方は無視せざるを得ない内容になっているからです。
詳しくは→こちらの婚約破棄慰謝料請求内容証明郵便の書き方をご覧ください。

プレッシャーを与えられない

また、このような文例では元婚約者にプレッシャーを与えられません。

というのも、このような内容証明郵便を受け取った相手は、まずインターネットで調べることになるでしょうし、本屋まで内容証明郵便に関する本を見に行くかもしれません。
すると、「ネットの文章そのままじゃないか!」とか「ああ、この本を写したのか、ビックリして損したよ」程度にしか思わないかもしれないからです。

ポイント

ここがポイント!


雛形を使用した内容証明郵便では効果が期待できない。

弁護士や行政書士作成を依頼する必要性

依頼しない場合のデメリット

また、上記の文例をそのまま写せば、法的には何の問題もありません。
しかし、「こういうことも書きたい」「私はあのときこう思った」など、記載したいことが他にもあるでしょう。
ここが問題なのです。

脅迫文のようになって不利になる

内容証明郵便を書きなれていない人が書くと、脅迫文のようになる場合や、感情的な文章になって何を言いたいのか分からなくなるなどして、後々不利になる恐れがあるのです。

なぜなら、内容証明郵便は証拠として残るからです。

請求する額によっては解決が難しくなる

慰謝料

さらに、「金○○万円を請求します」の○○に入る数字が問題です。

慰謝料は精神的損害に対する賠償ですから、いくら請求してもいいのですが、そのケース、そのケースによってある程度の相場(らしきもの)はあります。
詳しくは、→こちらの婚約破棄慰謝料の相場を参考にされてください。

100万円程度取れればいいと思われるような事例で、500万円だの1000万円だのを請求することは、自ら解決したくないと言っているようなものです。

これらのことを防ぐために、専門家(弁護士又は行政書士)に依頼する方法も考慮されたらいいと思います。

誰が書いたかは重要ではない

なお、弁護士名や行政書士名の入った内容証明郵便を出したいという人がいます。
しかし、内容証明郵便は何が書かれているかが重要であって、誰が書いたかは重要ではないのです。
そのため、弁護士名や行政書士名を入れるために作成を依頼する意味はほとんどありません。

※当事務所で作成する内容証明郵便に当職名は入らず、本人名義(発送手続きもご本人に行っていただきます。)となります。

依頼する場合のメリット

当然、専門家に依頼するとお金がかかります。
内容証明郵便の作成だけであれば、弁護士で3~5万円程度、行政書士で1万5千円~3万円程度が一般的でしょう。
そして、この金額は決して安いものではありません。

しかし、請求者が記載したいことを、それを記載することは法的に可能か不可能かの判断をしてくれることでしょう。
もちろん、○○に入る数字のアドバイスを受けることもできます。

そのため、作成費用を出す以上に得られるメリットはあると思います。

ポイント

ここがポイント!


脅迫文のようになって逆に損害賠償請求されることや、法外な金額を請求しないためにも、経済的に可能であれば専門家へ作成を依頼したほうが良い。

請求額を拒絶されたり請求自体を無視されたりした場合

疑問

では、相手が請求した金額を拒絶、あるいは完全に無視してきた場合には、どうすればいいのでしょうか?

なお、最初に請求した慰謝料の金額は、拒絶されることが普通です。

ご自身が請求される立場になってみれば分かると思いますが、「○月○日までに金○○万円お振込下さい」と記載されていた場合、「分かりました、すぐに振り込みます」とはならないですよね。
「私だけが悪いのではない」「金額が高すぎる」など、反論したくなることでしょう。

ポイント

ここがポイント!


最初の請求額は拒絶されることが普通。

請求額拒絶のケース

1 金額を再考する

計算

一つには、金額を再考して慰謝料額を下げるなどして再度書面を送付する方法があります。
最初の請求額では納得できないが、多少下げれば納得する場合もあるものです。

請求する側は、出来ることなら話し合いで解決したいと思っていることでしょう。
逆に、請求された側も基本的には話し合いで解決したいと思っており、法的措置(調停、訴訟)を取られることは嫌なのです。

ただ、納得できない金額では和解できないのですから、お互いに金額で歩み寄りができるならば、その道を探るほうがいいことは間違いありません。

2 法的措置を取る

裁判所

もう一つは、法的措置(調停、訴訟)をとることも考えられます。

調停は弁護士に依頼しないでも、ご自身で遂行することが可能と思いますので、それほどの費用はかかりません。
ただし、訴訟となると、どうしても弁護士に依頼することになるでしょう。

当然のことながら弁護士費用がかかりますので、勝訴しても「骨折り損のくたびれもうけ」になることも、下手をすると赤字になることも充分に考えられますから、費用と効果を見極める必要があります。

ポイント

ここがポイント!


請求が拒絶されたら、請求額を下げて書面を再送するか、調停や訴訟に以降することになるが、コストパフォーマンスをしっかり考える必要がある。

請求自体無視のケース

請求自体を無視されるのには、何らかの理由があるはずです。
そこで、まずはその原因を突き止めましょう。
無視された原因の多くは以下のいずれかですので、それぞれの場合における対応をご説明します。

1 内容が無視せざるを得なくなっている

これはインターネットや書籍を参考に作成した場合に多く見受けられます。
というのも、ネット上にあるような雛形は無視せざるを得ないような内容になっているからですが、詳しくは→こちらの婚約破棄慰謝料請求内容証明郵便の書き方を参考にされてください。

この場合の対応としては、上記ページを参考にされるなどして、一から請求をやり直す(再度作成し直した書面を送付する。)ことになるでしょう。
なお、当事務所が作成する書面の場合、回答を引き出すための様々なトラップを仕掛けますので、無視されることはほとんどありません。

2 請求額が法外

慰謝料

例えば、その事例における一般的な慰謝料額が100万円であるのに、800万円を請求しているような場合です。
ご自身が請求されている立場になればお分かりになると思うのですが、800万円からどれぐらい下がると思うでしょうか?

一般的な感覚で言えば、その事例における一般的な慰謝料額が100万円であっても、当事者間の協議で請求額の8分の1まで下がるとは思えないでしょう。

そうすると「訴訟にしてもらって、適正な額を裁判所に判断してもらう」という考えになるのです。

この場合の対応としては、訴訟をするか(訴訟をしても一般的な慰謝料額が認容される可能性が高いですが)、金額を適正なものに修正したうえで一から請求をやり直すことになるでしょう。

3 自分には非がないと思っている

怒る男性

「婚約を破棄したのは相手(請求者)が悪いからだ!俺は何も悪くない!むしろこっちが請求したいぐらいだ!」というように相手方が考えていることもあります。
婚約破棄の問題は、それぞれに言い分があることが多いですからね。

この場合の対応としては、自分には非がないと思っている相手方と当事者間で協議しても時間の無駄です。
また、そもそも無視されている以上、協議のしようもありません。
そこで、速やかに調停・訴訟という法的措置に移行することになります。

4 パニックに陥っている

意外に思われるかもしれませんが、請求された側はパニックに陥って思考がフリーズしていることがあります。
普通の人間であれば、慰謝料を請求されることはおそらくはじめてでしょうからね。

そこで、上記の1、2、3のいずれにも当てはまらないと思われるのであれば、設定した期限からちょっと(1週間程度を目安に)待ってみて督促されれば良いでしょう。

ポイント

ここがポイント!


請求自体が無視されたら、その原因を突き止めたうえで、原因に応じて対応する。

内容証明郵便はどのように作成すれば効果的?

それでは、請求を拒絶されないために、内容証明郵便はどのように作成すれば効果的なのでしょうか?
それについては→次のページ(婚約破棄慰謝料請求内容証明郵便の書き方)で説明しています。

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