婚約破棄の公正証書作成

公正証書とは?

公正証書

公正証書とは、公証役場という場所において、公証人という法律の専門家が作成してくれる公文書(当事者間で作成した婚約破棄の示談書(合意書・和解契約書)等は私文書)です。

作成するメリット

公証人は法律のプロ中のプロ

六法

公証人は法律の専門家であるだけでなく、30年以上の実務経験を有する法律実務家の中から法務大臣が任命されます。
そして、その前職は、裁判官や検察官であることが多いので、公証人は法律のプロ中のプロであると言えます。

法律的に間違いのない書面が作成できる

そのため、当事者間で作成した婚約破棄の示談書(合意書・和解契約書)の内容を原案にして法的に間違いのない形で和解内容を書面化できるというメリットがあります。
例えば、無効な記載を削除してくれるなどです。

訴訟をすることなく強制執行ができる

また、婚約破棄・解消の問題は20代など比較的年齢が低い二人が当事者になることが多いこととの関係で、慰謝料を支払う側の経済力が低い場合が多いです。
そのため、慰謝料の支払いが分割になることも多々あります。

示談書を作成しただけの場合

示談書

しかし、私文書である「示談書」を作成しただけの状態で月々の支払いが止まったとしたら、その「示談書」を証拠にして「相手方は毎月10万円ずつ支払うと約束したのに、支払いをしない!」と裁判所に訴訟を起こして、「約束通り、毎月10万円ずつ支払いなさい」という判決をもらわなければ、強制的に取り立てる(給与や財産を差し押さえる)ことはできません。

つまり、訴訟を起こしてその判決を得た後に強制執行の手続に移り、相手方(支払義務者)の給与や財産を差し押さえるなどして支払いを受けることになります。

公正証書まで作成している場合

裁判所

それに対して「示談書」を作成した後に、その示談書を原案にして強制執行認諾約款付公正証書(「支払いが滞ったら、強制執行されてもいいです」と相手方(支払い義務者)が認めた公正証書)を作成しておけば、上記の訴訟を省略することが可能です。

つまり、支払い停止→訴訟→強制執行という順序を、支払い停止→強制執行という具合に、支払いが停止したらいきなり給与差押等の強制執行が可能なことが公正証書作成の最大のメリットと言えます。

ポイント

ここがポイント!


(1)法的に間違いのない内容を書面にできること
(2)支払いが滞った場合に、訴訟をすることなくすぐに強制執行できることに公正証書作成のメリットがある。

作成するデメリット

下記で説明しますように手順や必要書類を揃えることが多少面倒であること、代理人を選任しない場合は当事者二人で公証役場に出向かなければいけないこと、公正証書の作成にはある程度の費用がかかること等が挙げられます。

しかし、公正証書を作成することによって、それらのデメリットを上回るメリットがありますので、婚約破棄の慰謝料の支払いが分割になるのであれば必ず作成すべきです。

具体的流れと必要書類

私も多くの公証役場で公正証書を作成してきましたが、その公証役場により公正証書作成の手順や必要書類が微妙に異なります。

そこで、以下は当事務所がよくお世話になっております横浜市内の公証役場(関内大通り公証役場)における公正証書作成の手順と必要書類をご説明します。

1 示談書(和解契約書)に当事者双方が署名捺印する

印鑑

まず、当事者双方が合意した内容にて、婚約破棄慰謝料等の金額、支払期日、支払方法等や、今後の約束事(連絡の禁止や守秘義務条項等)、強制執行認諾約款付公正証書作成に合意した旨を記載した示談書を作成し、それに双方が署名捺印します。
示談書の作成方法については→こちらの婚約破棄の示談書作成を参考にされてください。

代理人を選任することも可能

なお、公正証書に署名捺印する際に、必ずしも当事者双方が公証役場に出向く必要はありません。
そのため、元婚約者と顔を合わせたくないというような事情がある場合には、代理人を選任することも可能です。
そして、代理人に特別の資格は必要ありませんので、友人や家族を選任することもできます。

しかし、代理人による公正証書署名捺印を希望する場合は委任状が必要となり、一般的には示談書の1ページ目の前に委任状を貼り付けます。

そして、その委任状に「本委任状に添付した示談書をその内容とする、強制執行認諾約款付公正証書作成嘱託に関する一切の権限を委任する旨」、「委任者の住所、氏名、職業」、「受任者(代理人)の住所、氏名、職業」を記載して、委任者が委任状に実印で押印及び示談書と委任状のページの境目に実印で契印を押印します。

2 作成する公証役場と署名捺印予定日時を決定する

全国に公証役場は約300箇所ありますが、公正証書はそのうちどこの公証役場で作成しても構いません。
極端な話、東京在住の当事者二人が北海道の公証役場で公正証書を作成してもいいのです。

そこで、まずは公正証書を作成する公証役場を当事者双方で決める必要があります。

次に、飛び込みで公正証書作成を依頼してすぐに作成してくれる公証役場もあるでしょうが、一般的にはその場ですぐに作成してくれることはありません。
そこで、最初に公証役場とコンタクトを取れる日から1週間ほど後の平日(公証役場は平日しか開いていません。)で署名捺印予定日時を決めるべきでしょう。

また、その署名捺印を希望する日時に公証人の予定が既に入っていることもあり得ますから、希望日時は複数挙げておくべきです。

つまり、当事者間で決めておくべきことは、①公正証書を作成する公証役場と、②署名捺印を希望する日時を複数というふたつです。

3 必要書類を準備する

公正証書を作成するに際して、署名捺印当日に公証役場に出向くか代理人を選任するかによって必要書類は異なります。
また、作成する公証役場によって要求される書類が微妙に異なることもあるのですが、一般的には以下のものが必要となります。

  • ■当事者双方が公証役場に出向き署名捺印する場合
  • ・当事者双方が署名捺印した示談書
  • ・当事者双方の身分証明書(運転免許証のコピー、印鑑登録証明書等)
  • ■当事者の一方が代理人を選任して署名捺印する場合
  • ・当事者双方が署名捺印した示談書と委任状
  • ・署名捺印当日に公証役場に出向く当事者と代理人の身分証明書(運転免許証のコピー、印鑑登録証明書等)
  • ・代理人を選任した当事者の身分証明書(印鑑登録証明書限定)

4 公証役場に電話で予約を入れ、必要書類をFAXで送信する

公正証書を作成してもらう公証役場に電話で予約を入れます。

そして「当事者間で示談書に署名捺印したので、その示談書を原案にして公正証書を作成したい」ということと「公正証書に署名捺印する日時はは○月○日○時か△月△日△時を希望する」という旨を伝えます。

すると公証人の先生から上記手順その3に記載した必要書類をFAXで送信するか、郵便で送るか、公証役場に持参するように指示されるので、その指示に従われてください。

5 案文を当事者双方が確認して、諾否を公証人に伝える

公証役場に上記手順その3に記載した必要書類をFAXで送信しますと、公証人がそれらの書類を確認後、公正証書の案文(原案)を作成し、それをFAXで当事者に送ってくれますので、各当事者がその案文を確認して、諾否を公証人に伝えます。

6 予約当日に公証役場に出向いて当事者双方(代理人も可能)が署名捺印する

最後に予約当日に公証役場に出向いて公正証書に署名捺印するのですが、その際に必要なものは以下のものです。

  • ■当事者双方が公証役場に出向き署名捺印する場合
  • ・当事者双方が署名捺印した示談書の原本
  • ・当事者双方の身分証明書(運転免許証、印鑑登録証明書等)の原本
  • ・当事者双方の印鑑
  • ■当事者の一方が代理人を選任して署名捺印する場合
  • ・当事者双方が署名捺印した示談書と委任状の原本
  • ・署名捺印当日に公証役場に出向く当事者と代理人の身分証明書(運転免許証、印鑑登録証明書等)の原本
  • ・代理人を選任した当事者の身分証明書(印鑑登録証明書限定)の原本
  • ・署名捺印当日に公証役場に出向く当事者と代理人の印鑑

また、公証役場に支払う手数料については、この署名捺印の当日に直接支払う形となります。

ポイント

ここがポイント!


必要な書類や手続きの流れは作成する公証役場によって異なるので、そこに直接確認して公証人の指示に従う。

揉めないように示談書に記載しておくべき事項

示談書に強制執行認諾約款付公正証書を作成することについて双方が合意した旨を記載しておいても、まだ揉める要素が残っています。

それは、当事者双方とも自分にとって便利な公証役場で作成したいと考えることが一般的であるため、どこの公証役場で公正証書を作成するかということと、公正証書作成に要する費用は当事者のいずれが負担するかということです。

そのため、上記2点については、強制執行認諾約款付公正証書作成に合意した旨と併せて示談書に記載しておくべきで、具体的には以下のように記載されればいいでしょう。

示談書

「甲及び乙は、甲の指定する公証役場(あるいは○○公証役場と明記する)において、本示談書各条の趣旨による強制執行認諾約款付公正証書を作成することに合意する」

「公正証書作成に要する費用は乙が負担(あるいは甲乙が折半して負担)する」

※一般的に債権者(慰謝料を受け取る側)を甲、債務者(慰謝料を支払う側)を乙とすることが多いです。

ポイント

ここがポイント!


示談書には作成する公証役場と作成費用について明記しておくべき。

元婚約者にはどう対抗する?

ここまでが請求の基礎知識ですが、より具体的なことは別のページに記載しています。まず、婚約が解消された場合、元婚約者には具体的にどのように対抗していけば良いのでしょうか?
それについては→次のページ(婚約破棄の対抗策)で説明しています。

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