婚約破棄と婚姻の強制

婚約後の義務

婚約男女

婚約が成立すると、お互いに誠意をもって交際し、将来婚姻届を提出して夫婦としての共同生活を始められるように努力をしなければならない義務が生じます。

簡単に言えば、結婚に向けて誠実に行動しなさいということですね。
例えば、婚約者以外の異性と交際するなどをしてはいけないわけです。

なお、このような義務は婚約が成立していない場合は当然生じません。
そのため、婚約破棄・解消の問題を考えるにあたっては、そもそも二人の間に婚約が成立していたかどうかが重要になります。
どのような場合に婚約が成立するかは→こちらの婚約の基礎知識をご確認ください。

強制的に婚姻させることは可能か?

疑問

しかし、その義務に違反して婚約を破棄した相手方に対して、「婚約をしていた」ことを理由として、義務の履行を請求することは可能なのでしょうか?
分かり易い言葉を使うと、婚約していたことを理由に婚姻(婚姻届を提出すること、結婚と同じです。)を強制させることはできるのでしょうか?

それでも結婚したい

「婚約破棄されたけど、それでも相手と結婚したい」という人も多いと思います。
婚約者に浮気相手がいる場合などは「別れさせ屋」なるものに依頼して、婚約者と浮気相手を別れさせようとする人もいるぐらいです。

当事務所にも「婚約を破棄されたけれど、相手を強制的に結婚させる方法はありませんか?」という相談が寄せられることがあります。

結婚には男女の合意が必要

婚姻届

しかし、婚姻は男女の合意のみに基づいて成立するので、残念ながら片方が「いやだ」と言っているのに婚姻届の提出を強制することはできません。

「強制的に結婚させる方法はありませんし、仮にあったとしても結婚生活は続かない可能性が高いでしょうから、あなたが今できることをお考えになったらどうですか?」と回答するしかありません……

  • ※参考条文(憲法24条1項)
  • 婚姻は両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない
ポイント

ここがポイント!


結婚(婚姻届の提出)を強制させる手段は存在しない。

婚約を破棄された後の対応

破棄を受け入れることができない場合

上記のように、基本的に「結婚する気がないから婚約破棄をする」と言っている相手に対しては、婚姻を強制する手段はありません。

ただ、そうは言っても、今まで結婚するつもりだった人からの婚約破棄を、簡単に受け入れることはできないものでしょう。

相手と話し合う

そのような場合、一つの方法として、もう一度相手とよく話し合い、婚姻することに同意させるという手段もありますが、あまり効果は期待できない場合が多いようです。
なぜなら、そもそも復縁の話し合いに応じようとしないですから……

調停を利用する

疑問

しかし、復縁するためには何とか元婚約者と話し合いをしなければいけません。
そこで、復縁の話し合いに応じない元婚約者に対して、話し合いを強制する手段には何があるのでしょうか?

裁判所

これについては、家庭裁判所の調停という制度を使えば、ある程度強制的に話し合いをすることが可能です。

もっとも、裁判所にまで話を持っていかれては、相手が同意することはなかなかないと思われます。
もし自分が婚約破棄した立場で考えてみれば、家庭裁判所の調停を使ってまで結婚を同意(悪く言えば婚姻を強制)させようとする相手とは、結婚しようと思わないのではないでしょうか。

逆に、「そこまでして私と結婚したいのか!」と、そういう行動に愛情を感じる人もいるかもしれない(ただし、少数派だとは思います。)ので、一概には言えないのですが……

ポイント

ここがポイント!


婚約の解消が受け入れられない場合は、相手方の考えが再度結婚に向かうように話し合いをするしかないが、話し合い自体が難しい場合も多い。

破棄を受け入れるしかない場合

婚約を破棄された場合、話し合っても(話し合うことすら出来ない場合も多いですが)将来の結婚に至らないと判断し、婚約破棄を受け入れざるを得ない状況なのであれば、強制的に結婚させることが出来ないのは上記の通りです。

財産的な損害と慰謝料を請求する

慰謝料

となりますと、他に残された手段をとるしかありません。

具体的には、財産的な損害賠償と精神的な損害賠償(慰謝料)請求して新たに再出発することが、最善とは言い切れないとは思いますが、現実的なのではないでしょうか。

請求によって気持ちが切り替わるというメリット

また、財産的な損害や精神的な損害である慰謝料を請求することによって、気持ちが切り替わることも多いものです。

なお、財産的損害については→こちらの婚約破棄の損害賠償を、精神的損害である慰謝料については→こちらの婚約破棄の慰謝料を参考にされてください。

ポイント

ここがポイント!


婚約の解消を受け入れるのであれば、慰謝料などを請求して再出発することが現実的。

正当事由とは?

婚約が解消された場合、慰謝料などを請求して再出発することが現実的ですが、常に慰謝料を請求できるとは限らず、相手方に婚約を解消する正当事由がある場合には慰謝料などは請求できません。
では、どのような理由が正当事由に該当するのでしょうか?
それについては→次のページ(婚約破棄の正当事由)で説明しています。

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