婚約破棄の慰謝料を元婚約者の交際(不倫)相手に請求できるか

婚約者が浮気・不倫をしていた!

婚約男女

婚約者の一方が他方の婚約者以外の異性に好意を寄せたり、肉体関係を含む交際等に発展したりしたことが原因で、その婚約が破棄・解消に至ってしまう事例がよくあります。
つまり、婚約者が浮気・不倫をしていたという事態です。

裁判

そして、婚約が成立した場合(ごのような場合に婚約が成立するかは→こちらの婚約の基礎知識を参考にされてください。)には、婚約者双方は貞操を守る義務をも負っているとの裁判例があります。

したがって、その貞操義務に違反した婚約者に対して、慰謝料等の損害賠償請求は可能となります。

  • ※参考裁判例(昭和53年10月5日大阪高裁)
  • 婚約は将来婚姻をしようとする当事者の合意であり、婚約当事者は互いに誠意をもって交際し、婚姻を成立させるよう努力すべき義務があり(この意味では貞操を守る義務を負っている。)、正当の理由のない限りこれを破棄することはできない。

この裁判例は、貞操義務という難しい言葉を使っていますが、簡単に言うと「婚約したら浮気をするな」「浮気をしたら慰謝料を支払わなければならないよ」ということです。

ポイント

ここがポイント!


婚約者が不倫をしていた場合、その婚約者に対しては問題なく慰謝料等を請求することは可能。

請求が可能な条件

婚約の事実を知っていたか

疑問

では、婚約中の当事者の一方と浮気・不倫をした第三者(不倫相手)に対して、どのような条件があれば婚約破棄の慰謝料を請求することが可能なのでしょうか?

法律

まず、元婚約者の交際相手に対して、婚約破棄の慰謝料等を請求しようとする場合、その法律構成は不法行為に基づく損害賠償請求となります。

となりますと、不倫相手の行為が不法行為というものに該当する必要があります。
そして、不法行為に該当するためには、婚約者の不倫相手に故意又は過失がなければなりません。

ここで言う婚約者の不倫相手の故意とは、婚約者が婚約中であると認識していたことであり、過失とは、婚約者のことを注意すれば婚約中であることを知り得たことです。

ポイント

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婚約者の不倫相手に慰謝料を請求するには、相手方が婚約の事実を知っていたか、あるいは知らないことに過失があることが必要。

肉体関係を持ったか

デート

第三者が婚約者のことを婚約中であると認識していた、あるいは婚約者のことを注意すれば婚約中であることを知り得た場合であっても、単にデートをしていたとか、言い寄ってきて婚約者を心変わりさせた程度では、慰謝料を請求することは難しいです。

裁判例では「婚約当事者の一方及びこれと意を通じまたはこれに加担した第三者の違法な行為によって婚約当事者の他方が婚約の解消を余儀なくされ」とあることから、違法な行為が必要となります。
そのため、あくまでも肉体関係を持ったと場合に限られると考えられます。

したがって、婚約者の不倫相手が婚約の事実を知っていた、あるいは注意すれば婚約の事実を知ることができたにも関わらず、婚約者と肉体関係を持った場合に、婚約者の不倫相手に慰謝料請求が可能となるのです。

  • ※参考裁判例(昭和53年10月5日大阪高裁)
  • 被控訴人(婚約者と肉体関係を持った第三者)は、○○(婚約中に第三者と肉体関係を持った婚約当事者)と共同して控訴人(慰謝料請求者)が婚約に基づいて得た○○と誠実に交際をした後婚姻し、終生夫婦として共同生活をすることを期待すべき地位を違法に侵害したものであるから、控訴人に対し不法行為による損害賠償義務を免れないというべきである。
ポイント

ここがポイント!


婚約者の不倫相手に慰謝料を請求するには、二人の間に肉体関係があったことも必要。

請求の問題点

例えばA男さんとB子さんが婚約しているとして、その婚約中にA男さんとC子さんが肉体関係を持ったとします。

この場合、上記裁判例等によりますと、B子さんからA男さんとC子さんに対して損害賠償請求が可能となるはずです。
もっとも、現実問題としてC子さんへの請求は難しいことが多いのです。

故意・過失の証明が困難

というのも、C子さんが「A男さんとB子さんが婚約関係にあるとは知らなかった」と主張した場合、それを知っていた(故意)、あるいは不注意によって知ることができなかった(過失)ことを、B子さんが証明する必要があります。
しかし、三者が同じ勤務先であって、勤務先内でA男さんとB子さんの婚約が認知されているとか、C子さんに結婚式の招待状を送っているなどの事情がなければ、B子さんはC子さんがA男さんとB子さんの婚約関係を知っていたと証明することは困難だからです。

メール

なお、LINEやメールの履歴などから、婚約の事実を認識していたと証明することもできる場合があります。

例えば、婚約者と不倫相手との間におけるLINEやメールの中で、婚約についての話が出ている場合などです。

ポイント

ここがポイント!


婚約者の不倫相手が婚約の事実を知っていたかを証明することは難しいが、LINE・メール・結婚式の招待状の送付などによって証明できる場合もある。

慰謝料を請求した場合の反論は?

婚約者の不倫相手に慰謝料を請求できる場合であっても、やはり請求のメインとなる相手は元婚約者です。
では、慰謝料などを請求した場合に、元婚約者相手はどのように主張・反論をしてくるのでしょうか?
それについては→次のページ(婚約破棄の慰謝料を請求された人の反論)で説明しています。

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