不倫の慰謝料を請求されたら

悩んでいる女性

慰謝料を請求されたらどうすればいいの?

不倫の慰謝料を請求された場合の対応

謝罪

不倫の慰謝料を請求された場合の対応によって、すぐに解決する場合と、訴訟にまで発展してしまう場合があります。もちろん、請求されている金額が減額されることも、増額されることもあります。

そのため、まずは慰謝料を請求された場合の対応によって、解決の結果と過程が全く異なってくることに留意する必要があるでしょう。

初動が非常に重要

刑事ドラマや実際の刑事捜査では、簡単に解決できた事件や次の事件が起こらなかったはずが、初動捜査のミスによって事件が迷宮入りしたり、新たな事件が起こったりしますよね。不倫の慰謝料を請求された場合も、基本的にはそれと同じことが言えます。

つまり、不倫の慰謝料を請求された場合は初動が非常に重要なのです。

もっとも、請求された際にいかなる初動を取るかは非常に難しいのですが、上手に対応すれば、無駄な時間、労力、お金を使わずに済むことも多いので、請求されている方は是非ご一読ください。

ポイント

ここがポイント!


不倫の慰謝料を請求された際に、どのような初動を取るかによって結果は全く異なる。

「貴殿と夫が長期間不倫関係にあったことにより、私と夫は離婚に至りました。そこで、貴殿に対し、夫との不倫の慰謝料として民法709条・710条に基づき金200万円を請求します。本書面到達後10日以内に下記の口座に振り込みがない場合は、法的措置をとります。」というような内容証明郵便等が送られてきたとしましょう。

差出人を確認する

弁護士や行政書士名義の場合

疑問

まず何をすればいいでしょうか?

内容証明郵便の差出人が、弁護士や行政書士等の専門家であるならば、身は安全です。

なぜなら、合法的な手段しか使わないからです。

依頼者が専門家の制止を押し切って暴走しない限り、突然家に押しかけられることはありませんし、待ち伏せされて闇討ち(?)されたりもしません。

ただし、その内容証明郵便に記載されていることを履行しない(請求に応じない、○月○日までに連絡しないなど)場合は、本当に法的措置(調停や訴訟)をとられる可能性は高いです。

なお、行政書士は調停や訴訟に関わることができませんから、行政書士名義での慰謝料請求の場合は無視しておいても法的措置は取られないと思われるかもしれませんが、当事務所を含めて多くの行政書士事務所は弁護士事務所と繋がりがあります。

そして、調停や訴訟でしか解決できない状況になった案件については、その繋がりのある弁護士事務所に引き継ぎをお願いするので、行政書士名義の慰謝料請求であったとしても、無視等をしていれば上記のように本当に法的措置を取られる可能性が高いのです。

個人名義の場合

これに対して、内容証明郵便の差出人が弁護士や行政書士等の専門家でない場合で、特に女性が請求された場合は、ちょっと怖いですよね。

それこそ、闇討ちはされないでしょうが、突然家や勤務先に押しかけられることや、待ち伏せされることも考えられます。

慰謝料請求者の性格(怒り出すと何をするか分からない、目的のためには手段を選ばないなど)を不倫相手から聞いたことがあって、そのような危険があると判断した場合は、すぐにでも弁護士や行政書士等の専門家に相談し、善後策を協議したほうがいいでしょう。

弁護士や行政書士の名前が出さないこともある

なお、弁護士や行政書士等が作成した書面でも、弁護士名や行政書士名を出さないことがありますが、その点は記載されている文面から判断するしかありません。実際に当事務所で作成する内容証明郵便に当職名は入らず、本人名義となります。

一般論ですが、慰謝料請求書面に弁護士や行政書士等の作成者の名前が出ていなくても、弁護士や行政書士等が作成した書面の場合は、感情的な記載(不倫によって傷ついた、子供も悲しんでいる、食事が喉を通らないなど)は最小限になっていて、何を根拠(民法709条の不法行為など)にこのような請求をしているかが記載されていることが多いように感じます。

なお、不倫問題を豊富にこなしている専門家であれば、弁護士や行政書士の名前が出ていなくても、慰謝料請求者本人が作成したものであるのか、それともどこかに依頼して作成したものであるかはひと目で分かります。したがって、バックに誰かが付いているのか不安であるならば、届いた請求書面を経験豊富な専門家に見てもらうことをお勧めします。

また、もっとも簡単に専門家に依頼して作成したのか、あるいは個人で調べて作成したのかを見分ける方法としては、文章をコピペしてネットで検索してみることです。

もちろん、住所や名前、事実経緯の内容は個々の事案によって異なるので、その部分は除き、誰にでも当てはまる一般論の部分をコピペしてみてください。

全く同じ、あるいはほぼ同じものが検索でヒットすれば、それは個人で作成したと考えて間違いないでしょう。

事実関係を確認する

次に、内容証明郵便等に記載されている事実関係を確認しましょう。

単に「○月○日までに不倫の慰謝料として、金○○万円をお振込ください」とだけ記載されていることはないはずです。

なぜ慰謝料を請求するのか(例えば「あなたと夫は何年何月から不倫関係にあり、それによって私たち夫婦は離婚することになりました」など)ということが記載されていることでしょう。

それが事実なのか、デタラメ(全くデタラメということはあまりないでしょうが、不倫関係の期間や頻度などについては思い込みなどがあります。)なのかということを確認しましょう。

なお、多くの慰謝料請求書面には「不倫によって円満な婚姻関係が壊された」というようなことが記載されておりますが、不倫相手から「妻とは近いうちに離婚する」「家庭内別居だ」等と聞いていた場合、不倫の慰謝料を請求された人が「円満な婚姻関係と書いているのはおかしい!」と主張されることがあります。

しかし、実際に別居している等の特殊な状況を除いて、慰謝料請求書面に「不倫が始まるまでは円満であった」と記載するのは決まり文句のようなものですので、あまり気にされる必要はないのです。

したがって、請求に対する回答書において、その部分に延々と「こう聞いていた、ああ聞いていた、こうも聞いていた」などの主張を延々と展開する回答書を見受けますが、それにはあまり意味がないので、反論する場合であっても「家庭内別居と聞いていた」などと簡単なもので良いでしょう。

ポイント

ここがポイント!


請求書面に記載されている事実関係を確認する必要はあるが、「円満な婚姻関係」というような文言は決まり文句なので気にする必要はない。

請求権があるかを確認する

不倫の慰謝料を請求してくるということは、請求者としては慰謝料請求権を有していると思っている(あるいは思い込んでいる)はずですし、ほとんどの場合、慰謝料請求権を有したうえでの請求です。

ところが、稀に慰謝料請求権自体を有していないにも関わらず、恐喝のような請求をする人もいます。

これは、書面の作成者が弁護士であろうが行政書士であろうが同じことです。

なぜなら、当たり前の話ではありますが、弁護士も行政書士も依頼者から聞いた話や提示された証拠など、請求者側からの情報だけで判断するので、依頼者がデタラメや脚色した事実を話したとしても、それを真実と信じて慰謝料請求の書面を作成するからです。

明らかにウソをついていると分かるのですが、巧妙な方もいますので……

疑問

では、不倫の慰謝料を請求してきた人が、慰謝料請求権を有しているか(不倫の慰謝料を請求された人に支払い義務があるか)の判断ポイントは何でしょうか?

(1)不倫相手のことを既婚者と知っていたか、または普通に注意すれば知ることができたのに肉体関係を持ったか

不倫の慰謝料請求権が生じるのは、不倫が不法行為に該当する場合です。

そして、不法行為の成立には「故意」または「過失」があることが必要で、「故意」とは不倫相手のことを既婚者と知っていたことです。また、「過失」とは不注意で不倫相手を既婚者と知らなかったことですが、一般的な社会人であれば相手を既婚者と疑うべきでは?と考えられるような場合(例えばそれなりの年齢で結婚していても不思議ではない、土日は会えないなど)には「過失」が認められることに注意が必要です。

つまり、既婚者と知らなかった、あるいは注意しても知ることができずに肉体関係を持ったのであれば、故意も過失もないということになり、不法行為に該当しませんので、慰謝料請求権を有しません。

まずは、このポイントについて判断しましょう。

(2)不倫の時点で、相手方の婚姻関係は破綻していなかったか

不倫の時点で、既に離婚を前提に別居している場合などは、婚姻関係は破綻していた後の不倫と考えられますので、慰謝料請求権を有しません。

といっても、単に不仲であるとか、家庭内別居であるとか程度では、婚姻破綻はは認められないことに注意が必要です。詳しくは→こちらの婚姻破綻とはをご覧ください。

次に、このポイントについて判断しましょう。

(3)自由意思で肉体関係を持ったか

無理矢理肉体関係を持たされたなどは不法行為に該当しませんので、慰謝料請求権を有しません。

なお、無理矢理というのは拒絶しているのに力任せに関係を持たされたとか、弱味を握られて仕方なく関係を持ってしまった場合を指し、上司から誘われたので立場上断りにくかった程度では該当しませんが、その場合であっても慰謝料額に影響する可能性はあります。

最後に、このポイントについて判断しましょう。

ポイント

ここがポイント!


相手方に慰謝料請求権があるかを確認する。

確認したら

上記(1)(2)(3)の全てに該当するのであれば、慰謝料請求に応じざるを得ませんので、あとは請求された額を受け入れることができるかどうかだけの問題となります。

逆に、どれか一つにでも該当しないのであれば、慰謝料の支払いに応じる必要はありませんが、それを請求者に理解してもらう必要があるでしょう。

そう簡単には理解してもらうことはできないことが多いのですが、それでもそれを理解してもらう努力をしない(支払義務がないからと慰謝料請求を無視する)のであれば、時間と費用を消費する訴訟に進む可能性が高まります。

「相手には請求権がないのだから放置すれば良いだろう!相手だって請求権がないことを分かっていて、慰謝料を取れれば良いなぐらいに考えて請求しているのだろう?」と思われるかもしれません。

確かに、そのような考え方の人がいる人は否定しませんが、当事務所の経験上、そのような考え方の人は請求者のうちのごく一部です。そして、請求者がそのごく一部の人以外であった場合、つまり普通の(?)請求者であった場合は、放置=訴訟という可能性が非常に高いのです。

この初動における考え方は非常に重要です。

ポイント

ここがポイント!


相手方に請求権がないことが判明した場合は、それを納得してもらうように努力しなければ訴訟に移行する可能性が非常に高い。

請求者の目的を予想する

これは非常に重要であると同時に非常に難しいです。

もちろん、慰謝料請求者の目的を完璧に予想することは本人でない限り不可能ですが、請求書面に記載されている情報や不倫相手から聞いていた情報から、ある程度予想することは可能です。

実際にあった事例

当事務所がお手伝いした案件で「慰謝料を請求するが、それはあくまでも夫との不倫関係を解消させるための手段であり、夫と不倫関係を解消することを示談書において約束するのであれば、最終的には慰謝料請求権を放棄(慰謝料ゼロ)することで解決したい」と希望される女性がいました。

そこで、明言まではしないものの、それとなくその目的を慰謝料の請求書面に記載して伝えました。

しかし、その慰謝料を請求された人は、ある大手の法律事務所に依頼をし、謝罪や不倫関係の解消については触れることなく、請求された金額が高すぎると主張してきたのです。

そのような主張をされた請求者は、当初の考えを変えて慰謝料の獲得と不倫関係の解消の両方を求めるようになり、結果的には両方を得ることができました(請求額からは下がり一般的に妥当な範囲内の慰謝料額に落ち着きました)が、解決まで多くの時間を費やしました。

慰謝料を請求された人かその人が依頼した弁護士が請求者の目的をある程度予想できていれば、慰謝料がゼロになったうえにあっという間に解決できたのですけどね……

大切なことは「請求者の目的は慰謝料でないのではないか」と一度考えてみることで、上記の事例でも慰謝料を請求された人かその人が依頼した弁護士がちょっとでもそのことを考えていれば、結果は違っていたように感じます。

ポイント

ここがポイント!


請求者が何を望んでいるかを予想することは非常に重要!

返答の重要性

ここが一番重要でしょう。

内容証明郵便での不倫慰謝料請求を無視したとしても、別に逮捕されたりしませんし、法的には何らかの対応をする義務はありません。

内容証明郵便で請求されただけでは慰謝料の支払い義務があるわけではありませんし、何か返事をしなければならない義務があるわけでもありません。

「だったら無視しよう、そのうち諦めるだろう」と思うかもしれませんが、はっきり申し上げて最悪の対応と考えられます。

無視しても何も解決しませんし、そのまま法的措置をとられたときに裁判官から「やましいことがあるから返答しなかったのだろう」と推測される可能性がないとは限りません。

もちろん、不倫をした覚えは全くないとか、名前を聞いたこともない人から慰謝料を請求された等であるならば、今はやり(?)の振り込め詐欺である可能性がありますし、美人局のような慰謝料請求のような場合は、訴訟等に持ち込まれる可能性は限りなく低いので無視することをお勧めします。

ポイント

ここがポイント!


請求に対しては原則として返事を出すべき。

返答の仕方

多くの方々の請求をお手伝いした経験や、請求された方からご相談を受けていて思うことは、得てして不倫で慰謝料請求される場合は、請求される側に非があることが多いということです。
(当たり前の話ですが……)

請求権がないと考えられる場合

「請求権があるかを確認する」でご説明した通り、不倫の慰謝料請求をしてきた相手には、どう考えても請求権がない(と思われる)のであれば、その旨を返答されれば良いでしょう。

「私は相手の男性を既婚者とは知らなかったし、それを知らなかったことに過失はないから、慰謝料支払い義務はない」「あなたたちは現時点でも法律上の夫婦ではあるが、3年前から離婚を前提に別居していて婚姻関係は完全に崩壊しているから、慰謝料支払い義務はない」などですね。

ただし、常に左手の薬指に結婚指輪をしている、結婚式に招待された、同じ部署で既婚者と知らないはずがないなどの明らかな客観的事実がある場合に、「私は相手を既婚者とは知らなかった」との言い訳は通るわけがありません。

また、休日は家族で毎週出かけるのに「寝室を別にしていたから、あなたがたの夫婦関係は崩壊している」などと言い訳をした男性がいましたが、そのような理屈は通らないことはご理解いただけるでしょうし、単なる家庭内の不和程度や夫婦の一方が他方に不満を持っていた程度では婚姻破綻とは認められません。

以前、当事務所が慰謝料請求のお手伝いをしたときに、本当に上記のような言い訳をした男性がいました。頭が悪いとしか思えません……

誰にとってもお金は大事なものなのですから、慰謝料を支払いたくないと思う気持ちや支払い額をちょっとでも少なくしたいという気持ちは分からないでもないですが、そのような悪あがきは事態を悪化させるだけです。

さらに、慰謝料支払い義務を逃れようとするあまり、ウソをでっち上げたりするのも最悪でしょう。そのウソを崩されたときには、事態がさらに悪化することを覚悟してウソをつきましょう。

このことは、不倫の慰謝料請求に限らず、幼稚園児でも分かる常識ですね。

誰だって、慰謝料を請求されて「はい、そうですか。今週中に振り込みます」などと応じたくはないと思いますが、そこで請求者を悪者にしたとしても、何も解決しません。

本当に請求者が無茶苦茶(慰謝料請求権がないにも関わらず請求してくる)を言ってきている場合は断固拒絶すべきですが、そういう事例はあまりないでしょう。

金額に納得がいかない場合

多いのは、慰謝料を請求されること自体は仕方ないことが分かっているが、金額に納得がいかないというケースでしょう。ですから、請求された慰謝料の金額に納得がいかないなら、そのことを回答書面にしっかり記載して主張していけばいいのです。

「あなたが請求されている500万円という慰謝料額は、いろいろな判例からしてもあまりに法外な金額と思われますので、100万円で解決させていただけないでしょうか」というような具合です。

こんな人はお断りします!

ときどき「不倫は遊び」程度の感覚で「何が悪いの?」という人がいますし、請求者が証拠を持っていないようだから不倫の事実関係を否定して支払いを免れようという人もいますが、そのような人は当事務所に相談されても回答しませんし、依頼されてもお断りしますから、自力で解決されるか他の事務所に依頼されてください。

少なくとも私はそのような人のお力になる気持ちになれません……

逆に、不倫の慰謝料を請求された人で本当に請求者に悪いと思って、真摯に反省し、判例等を鑑みて妥当な慰謝料を支払う考えがあるということでしたら、ご相談、ご依頼いただければ、全力でお力にならせていただきます。

ポイント

ここがポイント!


悪あがきは事態を悪化させるだけだが、主張すべきことは主張するべき。

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