婚約破棄の判例

1 平成6年1月28日(東京地判)

請求者 女性から男性に
請求額 520万円(慰謝料300万円、嫁入り道具の買い入れ費用100万円、逸失利益120万円)
認められた額 100万円(現在の価値でもほぼ同額)
破棄した人 男性
破棄理由 男性に他に交際している女性がいて、婚約者と結婚する意思をなくす。(訴訟時には婚約の成立から争った)
算定理由 同棲の波風が立つまでは女性に落度はないこと、第三者が見て二人の同棲を解消しなければならないほどに男性と他女の関係が深くなっていたとは認められず(※デートをしていただけ)、女性及び女性の母に問題の解決を急ぎすぎた点もあること、女性は同棲を解消した翌日に男性の父から引越費用等として86万円の支払いをうけていること、交際の経緯や二人の年齢等(※23歳)から元々婚約が結婚まで至るについて不安定な要素もはらんでいたこと等の事情を総合的に考慮。
その他の損害 女性は同棲をしたためにアルバイトができず120万円の収入が得ることができなかったと主張して逸失利益を請求しましたが、同棲期間中も女性が希望してもアルバイトをできないという事情も認められないとして、裁判所は逸失利益の請求を認めませんでした。
また、女性が購入した家具類は、1年近く男性とのそれなりに意義のある同棲生活に利用され、同棲生活には女性も家賃や生活費を投入していること等に照らすと、その目的をある程度達しているといういうべきであり、その買い入れ代金を婚約破棄による損害額として算定するのは相当でないとして、裁判所は嫁入り道具の買い入れ費用の請求を認めませんでした。

2 昭和48年4月26日(東京高判)

請求者 女性から男性に
請求額 不明
認められた額 50万円(現在の価値で124万円程)
破棄した人 女性
破棄理由 男性からの肉体関係の強要、その直後の侮辱的発言(「お前はこれが初めてではないだろう。だから結婚の話は白紙に戻そう。どうしても一緒になろうというのなら、俺が二号、三号をもっても文句をいうな」)により、男性の婚約破棄誘致責任が認められる。
算定理由 男性は暴言を吐いたとはいえ、過失はともかく、さして悪意があったものとは考えられないこと(それにより結婚話をこわそうとする意思がなかった等)、男性が自己の非を反省し、女性の翻意を求めたこと、女性は既に他の男性と結婚して二児をもうけ幸福に暮らしていることなどの事情を斟酌。

3 昭和58年3月28日(大阪地判)

請求者 女性から男性と男性の両親に
請求額 1100万円(弁護士費用100万円を含む)
認められた額 550万円(弁護士費用50万円を含む、現在の価値で654万円程度)、男性と男性の両親の連帯責任
破棄した人 男性
破棄理由 女性が被差別部落出身であること。
算定理由 女性はいわれなき世の因習のしがらみの中にあって、男性という良き理解者と婚約し、天にも昇る気持ちであったと思われるにもかかわらず、被差別部落の出身であることを理由に男性の父親等から婚姻に激しく反対され、その結果、男性にも裏切られたもので、被った精神的苦痛は痛烈なものがあったと察せられること、本件がもとで女性が退職せざるを得なかったこと、婚約破棄の違法性が極めて強いこと、その他諸般の事情を考慮。

4 昭和45年12月4日(福岡地小倉支判)

請求者 女性から男性と男性の父親に
請求額 不明
認められた額 35万円(現在の価値で108万円)、男性のみの責任
破棄した人 男性
破棄理由 女性の性格が物足りないということ。
算定理由 女性が婚約破棄をされたことにより悲嘆にくれ、数日間寝込んだり、鼻血を出したり、10数日間不眠に悩まされるなどし、遂に勤務先の会社を退職したこと、男性は大企業に勤め収入が多いことなど、男性の職業、収入、婚約破棄の経緯その他諸般の事情を考慮。

5 昭和42年6月26日(大阪高判)

請求者 女性から男性に
請求額 300万円
認められた額 150万円(現在の価値で553万円程度)
破棄した人 男性
破棄理由 他の女性と結婚してしまった。
婚約中の事情 妊娠中絶2回、出産1回
算定理由 男性が女性と婚姻予約をなすに至った状況2回の妊娠中絶等をしたことにより結婚を約束)、両者間に子供が出生した事実、男性が女性との婚姻予約を破棄するに至った経緯とその後の状況、男性及び女性両名の年齢学歴経歴家族関係(男性は高学歴高収入)、男性と女性並びにその父母の資産収入等諸般の事実を総合。

6 昭和58年3月28日(大阪地判)

請求者 女性から男性と男性の母等親
請求額 約671万円(慰謝料500万円、嫁入り道具の処分差損90万円程度、弁護士費用60万円)
認められた額 約269万円(慰謝料150万円、嫁入り道具の処分差損90万円程度、弁護士費用30万円、現在の価値で330万円程度)、男性のみの責任
破棄した人 男性
破棄理由 女性が韓国籍であるということ。
算定理由 婚約に至る経緯挙式直前の婚約破棄男性の年齢男性女性双方の家族の関わり合い女性の年齢及び社会的地位その他の事情を総合考慮。
その他の損害 嫁入り道具の購入価格から処分価格を差し引いた実損額として90万円程度、弁護士費用として30万円が慰謝料以外にも認められています。

これらの判例を見てみると、社会的に許されないような婚約破棄理由(被差別部落出身、韓国籍を理由等)や、妊娠中絶があると、婚約破棄の慰謝料は高くなる傾向があります。

逆に一番多い婚約破棄理由と思われる、「他に好きな人ができた」や、「性格が合わない」というのは、婚約破棄の慰謝料はそれほど高額にならない傾向があります。

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